・「空き家対策特別措置法」施行後の動き (東近江市)
倒壊の恐れがあるなど周囲に悪影響を及ぼす「特定空き家」への対策を定めた
「空き家対策特別措置法」が昨年5月に施行されたのを受け、
滋賀県東近江市は先月末、
市内に千軒以上ある空き家のうち7軒を、
県内で初めて特定空き家と判定した。
所有者に対応を促す一方で、
空き家相談の総合窓口を設置して有効活用に取り組むなど、
多面的な対策を進めている。
・東近江市の「特定空き家」
東近江市が昨年実施した実態調査によると、
市内の空き家は1069戸で、うち85戸(8%)は「すでに特定空き家レベル」だった。
その中でも、近隣から
「瓦が落ちていて危険」
「草木が生い茂り動物がすみついている」
などの苦情が寄せられているにもかかわらず、
所有者による自主的な改善がみられない7軒を特定空き家と判定した。
今後、所有者に対して指導や勧告を行っていくが、
所有権が複数の相続人に分散している場合が多いことが課題だという。
相続人が県外に住んでいたり、相続していることを知らなかったりするケースもあり、対応は簡単ではない。
・「空き家バンク」の活用事例(東近江市)
市は4月、空き家の総合相談窓口として情報を集約する「空き家バンク」を設立した。
一般社団法人「東近江住まいるバンク」が運営を担い、
行政と民間の間を取り持つ形で、所有者や利用希望者、
近隣の空き家で困っている人などからの相談を一手に引き受けている。
・空き家を解体した事例(東近江市)
神戸市の高山リサさん(51)は今月、「東近江住まいるバンク」に相談し、
約5年前に叔母が他界して以来空き家になっていた東近江市福堂町の住宅を解体した。
「このまま置いておくと近所迷惑になるかもしれないし、何とかしないと、と思っていた。
解体業者への見積もりや行政への手続きなど、自力では分からないことを教えてもらい、助かった」
と話している。
・空き家を有効活用する(東近江市)
市内の空き家の約8割は「そのまま活用できる」か「修繕すれば活用できる」状態だ。
同バンクには現在50軒以上が登録されており、
良好な状態の物件については利用希望者とのマッチングを行い、有効活用を促していく。
すでに数軒でリフォームに向けた交渉が進んでいるという。
同バンク担当責任者は「所有者がどうしていいかわからず、
空き家のままになっているケースが多い。
解体や活用に向け、所有者と利用希望者双方の話を聞き、
選択肢の幅を広げることで背中を押したい」と話している。
・東近江市の空き家問題のまとめ
空き家の多くは相続の絡みで放置状態となってしまうことが多い。
半年も放置していると、まず雑草や庭木などの植物が建物に侵食していき、
そこから雨漏りして建物が腐って朽ち果てていくケースが多く、
ゆくゆくは「特定空き家」となってしまいます。
そのスピードはあっという間です。
所有者本人は遠方に住んでいて実感はないかもしれませんが、
「特定空き家」は近隣住民にとって迷惑物以外のなにものでもありません。
そうなる前に(有効活用できる時点で)、
相談して運用できるタイミングを逃さないようにすることが大事であり、
その為には空き家バンクというシステムがあることを周知徹底させてもらいたいものである。