福井県は「幸福度ランキング総合1位」というデータがあるように、
子育て先進県と知られ、教育に熱心な風土。
また求人倍率が高く働きやすい環境にあります。
そのため、福井県への移住は2015年は過去最高を記録。
移住者は約460人で前年度比約100人の増加。
この数字には大学卒業後に戻ってきた人は含まれず、
社会人やその家族など実質的な移住者である。
移住者のライフスタイルも近年は「半農半X」というスタイルに変わってきています。
その背景には、東日本大震災で地域の密接な人間関係の魅力、人と人との絆に気付かされたということがあります。
また、福井県は、中山間部の農業振興のの取り組みとして、
越前市の山間地にある「ふくい農業ビジネスセンター」をオープンさせました。
これにより農家レストランや農家民宿、
ワイナリーの起業などを支援、
さらに特産物の販売や料理メニューの開発、
また伝統工芸や観光業、
文化人とのコラボレーションを図っています。
このように具体的な事業を創出して、
そのバックアップに当たる姿勢は、
福井県内の農山村を元気づけることになり、
活性化の誘発剤となることでしょう。
■「半農半X」に注目■移住希望者の多くが心配するのが、生活を支える仕事に何を選ぶかだという。明治大農学部の小田切徳美教授は「農山村は消滅しない」(岩波新書)でこんな分析をしている。かつては専業的な農業を目指す人が多かった。しかし近年は必ずしもそうでなく、農業を含めたいわゆる「半農半X」を望む人が多数派だという。つまり兼業農家や自給的農業を選択。あるいは非農業を職業としながら、何かの形で農業に関わりたいという人が増えている。「半農半X」的な生き方が支持されるのは、日本経済の低迷で非正規雇用者が4割にまで激増し、また東日本大震災で地域の密接な人間関係の魅力に気付かされた時代背景がある。誘致企業や観光事業のサラリーマンより、農村を基盤とした小さなビジネスや地元の新たな需要を掘り起こし「ナリワイ」とする。そのことに価値を見いだすようになったという。■新ビジネス切り開く■その流れを後押しする県の施設がオープンした。越前市の山間地にある「ふくい農業ビジネスセンター」だ。農業振興を平野部と中山間部に分けた場合、この施設は後者の特徴を生かした「里山里海湖(うみ)ビジネス」を創出し、交流人口の増加や所得アップを目指す。そのための人材育成や技術研修を担う。具体的には農家レストランや農家民宿、ワイナリーの起業などを支援する。さらに特産物の販売や料理メニューの開発、また伝統工芸や観光業、文化人とのコラボレーションを図る。施設周辺では現在、体験農園や園芸用ハウス、ブドウほ場の整備が進められ、10月から農業ビジネス研修もスタート。農家レストラン、農家民宿コース、さらに新ビジネス開拓の推進役・地域コーディネーター養成の受講生を募集している。もちろん既存農家や経営者の挑戦も歓迎するが、次世代を担う新規就農者、県外の移住希望者らに門戸を広げている。農山村が元気になれば県全体が活気づく。その誘発剤となるよう期待は大きい。