薪ストーブがどんなに高価なものでも、薪が良くなかったら話になりません。
薪の品質を左右するのは乾燥の度合いです。
スギは良くない、マツは良くないなどとよく言われますが、
しっかり乾燥させれば、マツでもスギでも気持ちよくきれいな炎を立てて燃えてくれます。
薪ストーブ用の薪は針葉樹は良くない広葉樹にすべきだとも言われますが、
樹種よりも大事なのは乾燥させることなのです。
・薪は薪棚に保管したい
家の軒下の外壁に沿わせて薪を積んでいるのを見かけますが、あまりオススメできませんね。
軒下は雨がかりは避けることができますが、片側がふさがっているため風の通りが悪く乾燥が進みません。
乾燥をうながすには日射で熱くすることではなく、風通しを良くすることです。
洗濯物を干すにしても、風がないとよく乾きませんよね。
そのうえ、積んでいる乾燥期間中には薪に虫がつくことが多く、土台まわりから床下に侵入することがあります。
床下換気口をふさいでしまうと、家の床下の通気が滞って床下の根太などが腐る原因ともなります。
また長期間放置していると、あの忌まわしいシロアリを呼び込むことにもつながります。
敷地に余裕が無くて別棟で薪小屋を建てれない場合はしょうがないですけど、
スペースがあるのならば薪小屋を作ることを是非ともオススメします。
軒下積みは冬場の一時保管だけにしたいものです。
・一棚の容積は地方によって違う
昔から薪の売買では、一束いくらとか、大量の取引では一棚いくらという感じでやりとりをしていました。
でも、その一棚の容積が地方によって違うのでやっかいです。
北海道では、縦6尺、横6尺、高さ2尺を2棚としていたり、
岩手(広辞苑の定義も同様)では、縦6尺、横6尺、高さ3尺を1棚としています。
北海道は別として、概ね100立方尺を1棚と見るのが多いようです。
メートル単位にすると、1.82×1.82×0.91=3.01m3(立方メートル)となります。
以降、こちらのサイトでは一棚は3.01 m3(立方メートル)ということで、話しを進めていきますね。
また、これらは見かけの材積で、層積といいます。
実際の薪の体積は実績といい、薪と薪との隙間(空隙率) が37.5%あるして、
層積に0.625をかけた数字となります。
よって、一棚の実績は3.01×0.625=1.88125 m3(立方メートル)となります。
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・一棚の重さを知りたい
軽トラに積んで薪を運ぶ時など重量を知りたい時にはどうしたらよいでしょうか?
軽トラ全体で重さを量る機械を使えば簡単ですが、
無い場合は、一ケースごと重さを量ってそれを積み上げていく方法ですかね。
でも、せっかく前項で、一棚の実績が3.01×0.625=1.88125 m3(立方メートル)とわかったことなので、
それを使って机上計算で推定してみますね。
含水率と比重がわかれば計算は可能です。
含水率について、詳細な説明は省きますが、ここではウエットベース(WB)で話しを進めます。
計算式をうまく書けないので結果だけでご勘弁を。
乾燥前のスギ(比重0.38)含水率22%の場合、一棚(層積)の重量は、918kg
乾燥後のスギ(比重0.38)含水率18%の場合、一棚(層積)の重量は、873kg
乾燥前のマツ(比重0.63) 含水率22%の場合、一棚(層積)の重量は、1,522kg
乾燥後のマツ(比重0.63) 含水率18%の場合、一棚(層積)の重量は、1,447kg
乾燥前のナラ(比重0.68) 含水率22%の場合、一棚(層積)の重量は、1,642kg
乾燥後のナラ(比重0.68) 含水率18%の場合、一棚(層積)の重量は、1,562kg
ついでに軽トラ一台分は?とよく聞かれるので、そちらも算出してみました。
自分の軽トラ(SAMBAR)の荷台寸法を測ってみたら、
縦190cm、横140cm、あおりの高さ30cmでした。
あおりの高さ一杯に平らに薪を積んだとします。
乾燥前のスギ(比重0.38) 含水率22%の場合、軽トラ1台分(層積)の重量は、243kg
乾燥後のスギ(比重0.38) 含水率18%の場合、軽トラ1台分 (層積)の重量は、231kg
乾燥前のマツ(比重0.63) 含水率22%の場合、軽トラ1台分 (層積)の重量は、403kg
乾燥後のマツ(比重0.63) 含水率18%の場合、軽トラ1台分 (層積)の重量は、383kg
乾燥前のナラ(比重0.68) 含水率22%の場合、軽トラ1台分 (層積)の重量は、435kg
乾燥後のナラ(比重0.68) 含水率18%の場合、軽トラ1台分 (層積)の重量は、414kg
ありゃ~、マツやナラだと軽トラの積載重量超えちゃいますね。
あくまでも机上での概算計算の結果ですから・・・
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・薪棚(薪小屋)の作り方
ちょっと話しがそれたみたいですね。
薪棚を設置する場所は、風通しの良いところにするのが乾燥薪を作る秘訣です。
方位はあまり気にしなくていいです。
日当たりの良い南向きがいいとかはありませんから。
屋根も架けてあげたいとなると、木材で作るのが一般的でしょうか。
ホームセンターに行けばツーバイフォー材が安く売っているのでそれを利用しているようです。
防腐塗料を塗れば耐久性もアップするかな。
屋根材は、波板トタンかポリカ波板ですかね、安くて耐久性があるのは波板トタンでした。
建築現場で使われている足場の材料で、単管を使う方法もあります。
耐久性と強度的な面からいうと、木材よりも単管を使いたいですね。
道具(ラジェットスパナ、高速カッター)をそろえれば、自由な寸法で組み立てることができます。
最後にもう一つ、中間に棚があれば重宝します。
棚が無いと、下から積んでいって乾燥させて、シーズンに入って使い始めるのは上から取るしかありませんね。
いくらかでも乾燥期間の長い下部の方から使いたいわけですけど。
棚をつければ、下半分のを使うことができますよね。
また、高く積むと乾燥収縮による傾き角度が大きくなり崩れます。
ありがたくないことに、私は真夏にそれを経験しました。
たまたま外にいた時に見たのですが、ガラガラという音と共に屏風が倒れるがごとく一瞬で薪山ができあがりましたよ。
近くにいたら、押し倒されて大ケガをするところでした。
・単管を使った薪棚の例
↑ 1号棟:初めに作った薪小屋で、左側を作って数年後に右側を増築しました。
浄化槽の上なので点検するマンホールが隠れないようにレイアウトしました。
銀色の単管が目立たないようにコゲ茶色のペンキを塗りました。手間はかかったけど良い感じに仕上がりました。
高さ1メートルくらいの位置に中間棚となるように、単管を渡しています。
そのため積んだ数ヶ月後に、薪の乾燥収縮による崩れの心配もありません。収納能力は3棚分です。
↑ 2号棟:こちらは予算の都合上中間棚は設けられませんでした。
慎重に傾かないように積んでいますが、1ヶ月ごとに点検して傾いてきたら修正してあげます。
2列で並べているのでなんとかもっているが、1列の単独だと崩れるのが目に見えていますね。
4棚分のスペースで作ったが、奧の1棚分は自家用車3台分のタイヤ置き場にしているので、
薪は3棚分収納しています。
↑端材置き場:30センチの長さを取れなかったリンゴの木や、玉切りの時にできた端材も集めてみると結構なスペースをとってしまうので、専用に作りました。
これだけでもシーズン初期で1ヶ月くらい持つかな。これでも半棚分あります。
↑3号棟:こちらは商売用です。
30センチのナラ薪を積んでいます。
もう一列あって合計3列で、6棚分収納できます。
1号から4号まで全て垂木と単管の接合には番線で固定しています。
垂木止めクランプという専用の商品もありますが、予算の節約になります。
強度的にも番線で充分ですね。
↑4号棟:こちらも商売用です。
40センチのナラ薪を積んでいます。
4棚分を収納しますが、多く作ってしまった時は真ん中の通路にも積んじゃいます。
通気の面ではあまり良くないんですけどね。
こちらは単管の中間棚は設けていません。
予算が厳しかったので。
でもこれくらいの高さまで積むと、2列積みでも絶対くずれます。
なので、中間くらいの高さにワイヤーメッシュを敷いて上下の縁を切っています。
ホームセンターで1枚500円程度のものを4枚ですみました。
↑3号棟の根まわり:薪が空っぽになった時期に暴風で飛ばされないように、
厚さ12センチのコンクリートブロックを重しにして単管を番線で固定しています。
↑4号棟の根まわり:3号棟の経験を踏まえて簡略化しました。
厚さ12センチのコンクリートブロックなら空洞部分に単管を通すことができます。
・薪棚の参考事例
さまざまな薪棚の事例がネットで公開されています。
木製で作るのであれば、下記のサイトを参考にして薪棚のDIYはいかがでしょうか?
薪棚の作成 2×4(画像・図面・作り方など、薪ストーバー必見)