作物被害の増加で注目される野生鳥獣肉「ジビエ」の活用法

ジビエ

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“ジビエプロジェクト”は 今、鳥獣被害対策としてだけでなく、地域おこしの一環として推進しようと一石二鳥・三鳥を狙う動きとなっている。

 

そもそも「ジビエ」とはフランス語で狩猟により捕獲された野生鳥獣の食肉のこと。

 

欧州では貴族階級が狩猟後、調理・食し、伝統料理として発展してきた。

 

日本でも、イタリアン、フレンチの高級食材として注目されている。

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・愛知県設楽町のジビエビジネス

 
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愛知県設楽町では、 「奥三河高原ジビエの森」として、ジビエビジネスを昨年4月からスタートしている。

 

ジビエビジネス推進には適切な仕入れから解体・処理、保管が必要。

 

そこで、農林水産省の交付金650万円と町の補助金400万円に協議会員の拠出金・住民寄付金を合わせ1500万円で食肉処理施設を造った。

 

仕入れは、 地区3町村に180人の会員を持つ猟友会と連携。

 

生きたままでの捕獲連絡をもらい、引き取りに出向き、自ら“とめ刺し”と“回収”をする。これでトレーサビリティーが確保できる体制が構築された。

・埼玉県小鹿野町のジビエビジネス

 
 

 “秩父”はシカによる食害でシラビソ中心に数十本という単位で「立ち枯れ現象」がおき、自然環境が保全できなくなっている。

 

加えて、農作物被害も甚大。

 

さらに事業所も、人口も減少の一途。そこで西秩父商工会(埼玉県小鹿野町)は一石二鳥・三鳥を狙って鹿産業創出に向けて動きだした。

 

食肉活用では鹿肉ココナツカリー、ローストベニスン、鹿肉ハンバーグなど、皮革活用ではウイスキーボトル・ネットやファスト・シューズなどの商品化に向けた調査研究事業を実施した。

 

これにより、「一応、課題は解決できた。食肉はめどが立ちこれからが事業化に向け本格的なスタート段階」と西秩父商工会の指導員からこの春、荒川商工会の 事務局長に転じた神林秀典氏は話す。

 

すでに15年9月には「秩父天然鹿の味噌漬け丼」を商品化、14店舗で提供を開始。高タンパク、低脂肪、低コレステ ロールの肉として評判もいいという。

 

また、ロースト用の肉として都内、横浜、川崎、さいたまのフレンチレストランへ供給も開始した。

 

さらにジビエとしての活用だけでなく皮革での利活用も含め て事業全体のブラッシュアップを進めるため農水省の交付金を得て本年度からの2カ年事業にも取り組む計画。これで、“鹿産業”を実現する考えだ。

・石川県小松市のジビエビジネス

ちょっと変わった“ジビエプロジェクト”を展開しているのが、小松商工会議所(石川県小松市)の「こまつ地美絵」実行委員会。

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同商工会議所は小松市の活性 化のため経済産業省の地域力活用新事業∞全国展開プロジェクトに応募。

 

11年、調査研究事業として食のイベントと九谷焼のコラボレーションを試みた。

 

この 中で出てきたのが、「町衆文化」と「自然の恵み」「モノづくり」の融合だ。

 

さらに小松文化を代表する「茶道」とモノづくりの「九谷焼」、自然の恵み「ジビエ(イノシシ)」を組み合わせた新たな食イベント「小松食の祭典」を実現し ようと「こまつ地美絵プロジェクト」を2年間の本体事業として取り組んだ。

 

事業を進める中で、新しいアイデアも生まれ事業の将来性を確信。

 

14年度には県 の補助金を得て、九谷焼の酒器や、ジビエに合う日本酒の開発にも着手。

 

さらに本年度はジビエなどの流通経路の安定化や洋食にあう九谷焼皿の開発などを進める。

・政府がジビエビジネスの普及拡大の後押し

近年、日本では野生鳥獣の増加・拡大により、農作物被害は年間約200億円と高水準で推移している。

 

今年はクマ、イノシシなどによる人的被害が増えており、農水省などが 対策を強化。

 

埋設処理はもったいないと処理加工施設などの建設に対する支援も実施し、徐々に食材活用のためルートが確保され始めた。

 

内閣府が地域資源としてジビエを利活用するための体制構築の取り組みに対し地方創生推進交付金を支出、

経産省も地域力活用新事業∞全国展開プロジェクトなどで支援、

環境省も都道府県によるシカ、イノシシの捕獲の取り組みなどを支援している。

 

政府の本年度の捕獲目標はシカ、イノシシ合計で約50万頭。

 

だが、野生鳥獣の食肉などへの利用は14年度で約14%、

 

これを28年度に30%へ拡大する計画としている。

 

政府目標を達成するには、15万頭の消化することになるが、

 

現状、農村の過疎化と猟師の高齢化からすると、

 

あっと驚く仕組みを作らないことには難しい数字であろう。

 

 

 

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